日本キリスト教団

 
 
2024.08.25
説教ダイジェスト
礼拝説教要約
『主の名によって来られる方』
マタイによる福音書
23章37-39節

 エルサレムは、イスラエルの首都。今、イスラエルは戦争をしている。自分たちの 正当性を主張してやめようとしない。ガザを攻撃し、幼い命を奪う。命を軽んじるこ とは許されない。私は、イスラエルを嘆く思いでいる。欧米各国、そのキリスト教は、 旧約聖書の宗教としてのユダヤ教、ユダヤ人を尊ぶ思いが強く、イスラエルの肩を持 つ傾向にある。こういうキリスト教の在り方も問題があると言えないだろうか。世界 の平和を宗教が乱すということになっていないだろうか。戦争をやめないエルサレム の指導者たちを嘆く。

  30 年ほど前にイスラエルから帰国する飛行機で、テレビのニュースが前方の大画 面に映されていた。私の隣に座っていたブルカ姿のパレスチナ系の婦人が、ネタニヤ フ首相の顔が映されると“Bad man”(悪党だ)とつぶやいていた。イスラエルとパレ スチナの衝突を、日常の身近な問題として感じたことを思い出す。もしもイエス様が、 今の世界におられたら、何を思い、何を嘆かれるのだろうか。

  今日の聖書の箇所は、今から2千年前のエルサレムの話。イエス様がエルサレムを 思って嘆いている。この箇所の直前には、イエス様が律法学者とファリサイ派の人々 に対するとても厳しい批判の言葉が述べられている。一言でいうと、彼らは「偽善者」 である。

  神を尊んでいるようでいて、実のところは、神様の名を利用して自分が得をしたり、 批判されないように身を守っているのだ。自分を正しいと見せるために、神様を利用 している。そして、弱い立場の人が苦しんでも気にせず、神様が悲しまれるようなこ とをなし続けている。律法で定められている定め通りに神への献げ物をするが、それ は形式的なことでしかなく、心は込められていない。そして、イエス様は、イスラエ ルの歴史を振り返って、彼らは神が遣わす人、預言者たちに反抗し殺してきたと指摘 される。

  律法学者やファリサイ派の人たちの誤りは、とかく律法の定めを通してしか現実を 見ようとしないことが原因だ。目の前の現実をありのままに見ないで、律法をもって 正しいかどうかを決めつけてしまう。彼らの心も振る舞いも、律法に束縛されている。

  イエスは嘆きつつ、「主の名によって来られる方に祝福があるように」という時ま で、決して私を見ることはないと言われる。エルサレム入城の時、群衆はロバの背に 乗るイエスを「主の名によって来られた方」(マタイ21:9)と言って歓迎した。つ まり、イエス様こそが「主の名によっておられる方」であると言っている。律法学者 とファリサイ派が、このことに気づく時が来ることを待つというのだ。

 イエス様と律法学者とファリサイ派の人たちは、たびたび論争した。それは、事の 正邪を決めるためだけではなかった。イエスは彼らの救い、回心を願っておられた。 論争は、救いへの招きであり、イエスの憐れみの表現だった。しかし、彼らは、イエ スを理解できず、神を冒涜しているとみなした。憎み、十字架にかけた。

  彼らはイエスの命をも奪う人たち、イエスの敵なのだ。しかし、イエスは、そのよ うな彼らを嘆く。もしも本心から憎んでいるなら、その人たちのことを嘆きはしない ものだ。むしろイエスは、彼らの救いを願っているので嘆かれるのだ。イエスは敵を 愛し、罪人の救いを願う方だ。

  そして、イエスは自分の愛を分かってくれないという理由で嘆いているのではない。 罪人が神の愛に気づかないで、救いから漏れてしまうことを願いておられる。自分の ことは脇において、相手の身になって嘆いてくださっているのだ。

 マタイ福音書9章で、イエスは徴税人マタイを弟子になるように招かれた。ファリ サイ派の人たちは、イエスが徴税人(罪人)に関わることを理解できなかった。そこ で、イエスは言われた。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。『わ たしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って 学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためであ る。」(12-13節)

  私たちは自分自身のことを、丈夫な人と病人、どちらだと思っているだろうか。自 分には魂の医者が必要だと思っているだろうか。それとも、神の前に正しい人だと思 っているのか。そうでなければ、欠けのある者、罪人と思っているだろうか。

  いったいイエスの招きに応じるとは、どのような心を持つことだろうか。イエスは、 罪を自覚しない罪人(律法学者、ファリサイ派)をも救いに招いてくださる。さらに、 心から悔いる罪人であれば、おのずとイエスを歓迎し、救いに招かれるのだ。

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